資金繰りが悪いとはどういう状態か
資金繰りが悪いというのは、単純に手元の資金に余裕がなく、その対策に時間を取られる状態と言えます。経営者様であれば、実感としてもそれを感じていらっしゃるでしょう。
では、なぜ資金繰りが悪くなるのか?については、前回の記事「中小企業の資金繰りを良くするということ」でも少し書いておりますが、一つには基本的に収入を得るためには支出を先に行う必要があり、お金が入ってくるまでにはタイムラグが発生することが大きなポイントになります。このあたりをよく理解して、お金の流れを管理する必要があるわけです。支払いというのは仕入れの買掛金だけでなく、借入金の返済、従業員の給与なども含んでいますので、収入を得る一連の取り組みの中で、多くの支出が伴うわけです。
利益率が1~2%だとすると、売り上げに対してその98~99%のコストが出ているということです。
1億円を売っても9千9,800万以上は費用になっているわけです。
売上金額とほぼ同じ金額の支出が経営上は必要であると認識する必要があります。
そして多くの場合支出は収入に先立って発生するのです。
このことを考えても手元の資金が尽きてしまわないように管理するということは非常に重要です。
資金繰りが悪いというのは、必要となる支出に対して十分な現金がない状態です。
そのような状況の発生可能性を事前に把握するために資金繰り予定表を作ったりするわけですね。資金繰りに余裕がない時などは資金繰り表を作るのは非常に重要です。また、そうでない場合も含め財務諸表の貸借対照表の形から、資金繰りの改善や経営力向上の判断を行うこともできます。
貸借対照表と資金繰り
貸借対照表は事業者がどのようにお金を調達して(負債、資本)、どのような形で保有しているか(資産)を表す財務諸表です。このあたりがいまいち理解できない場合は、気軽に相談してくださいね。
さて、貸借対照表を見れば、その企業がどのような経営をしていて、どういう状況なのかについて一定の情報を得ることもできます。
資金繰りに関して言えば、当然、資産としての現預金が潤沢であることが望ましいわけですが、実際の経営ではそればかり言っていられません。事業に必要な固定資産を保有したり、仕入れを行ったりする必要もあります。売り上げも売掛金として現金に代わるまでのタイムラグがあるかもしれません。
現預金以外の資産は、お金ではありませんので、直近の資金としては使えません。
ですので、現金がない状態で、在庫ばかりあるというのは資金繰り上はマイナス要因になります。
売掛金も同様に短期的には現金にならないので、資金繰り上はプラスにはなりません。
支払をする際は、現預金で支払いをします。現金支払いではなく、支払に時間的猶予を持たせる場合は、買掛金などで時間を稼げますね。その場で支払うよりも買掛金にした方が資金繰りが楽になるわけです。(もちろん最終的には支払いが必要ですが)
資金繰りを良くしていくためには、
- 資産はできるだけ現預金として保持
- 在庫圧縮しはできるだけ早く回転させる
- 売掛金が現金になるまでの期間をできるだけ短く
- 売掛金の回収を確実に
- 短期借入などで運転資金を賄う比率を下げる
- 利益をしっかり出して、自己資本を充実化させる
という流れを作ることが大切です。
要するに貸借対照表の借り方については、上の部分を重視(頭でっかちに)、貸方は下方向を重視(しっかりと腰を据えて)というかたちでバランスさせる方向に経営を持っていくことが重要ということです。
個別の対応はそれぞれあるわけですが、まずは自社のバランスシートの現状を把握することは資金繰りを考えるうえで非常に大切な示唆を与えてくれるでしょう。
とはいえ、わからないことも多いのです、という場合はすぐに相談を
資金繰りは事業の生命線です。わからないという状況は絶対に作らないようにしてください。
とはいえ、小難しい部分もありますので、いつでもご相談ください。
やみくもに、借入を増やして目先の資金繰りの対策を行うことは長期的に見ると経営を悪くしてしまう場合もあります。
売上が増えている状況において、資金繰りが苦しくなるということもあります。
専門的になる必要はありませんが、「どういうことなのか」ということについて理解を深めることはとても大切です。
これから起業・創業を目指す人にとっても、このあたりの考え方は非常に重要です。「なんとかなる」で突っ走ってしまわないようにしましょう。これは非常に大切なことです。
CONSULTING OFFICE 3Sでは小さな企業の資金繰りやコスト削減、売上向上のご支援をいたします。