運転資金がどのくらい必要になってくるのか
中小企業や小さな店舗の経営において、運転資金がどのくらい必要になるのか?という点についての感覚を持っておくことは資金繰りを管理するうえでとても大切です。
自社の運転資金がどれくらい必要なのか?
パッと思い浮かべることができますか?
もしわからなければ、今回のコラムでその感覚を少しでもつかんでいただければと思います。
経営相談もいつでも気軽にしてくださいね。
まずは、運転資金の公式のようなもの
運転資金がどれくらい必要になるかというのを把握するためにはざっくりいうと以下のような式が使えます。
運転資金 = 売上債権 + 棚卸資産 - 仕入債務
この公式を見て、すぐに「あーなるほど」とわかりましたでしょうか?
あるいは、「あれ?支払に必要なのは仕入れ債務なのに、運転資金からマイナスしていいの?どういうこと?」と思ったでしょうか?
単に公式はこうですと提示されたものを機械的に覚えるより、頭をひねり、自身の感覚として理解できることが大切です。わからない場合にそのままにしないでくださいね。
運転資金の公式が示す意味合いを考える
運転資金は売上債権と在庫の合計から買入債務を引いたものというのはどういうことでしょうか?
これは、売上債権あ買入債務の性質を考えていくと何となく見えてくると思いますので、その部分の説明をしてみましょう。
売上債権とは、売掛金などのように、実際に売上として計上されましたが、まだ現金になっていないものであります。ですので、この部分にものすごく大きな金額が計上されていても入金されるまでは、自社には1円もお金が入ってきていないことになります。
棚卸資産は在庫ですね。在庫ですので、まだ売り上げとしても計上されていない状態であります。当然まずはその在庫品を製品として販売し、売り上げを計上する必要があります。その売り上げが入金されるまでは現金にならないことになります。
つまり、売上債権と、棚卸資産は、実際に現金として手元に入ってくるまでにタイムラグがあるわけです。ですので、実際に入金されるまでの間は、売上債権と棚卸資産に相当する金額分については、何らかの形でお金が必要になっても自社で建て替えておく必要があります。手元に現金があれば、そこから支払いますし、なければ、銀行から借り入れる必要があるのです。
では、仕入債務はというと、こちらは支払期日がくれば、実際に現金で支払う必要がありますが、期日が来るまでの間は支払う必要がないお金です。ですので、直近においては必要となる運転資金から差し引けるということになります。
経営は継続していくものという時間の流れも頭に入れてみましょう
事業は、1、2か月とかの単位で終わるものではありません。通常は何年も、そしてできれば永続していくことが前提となります。
ある月において、売上債権と棚卸資産、仕入債務の金額がわかり、それが平均的に翌月もその翌月も続いていくことが見込まれるのであれば、公式としての
運転資金 = 売上債権 + 棚卸資産 - 仕入債務
に意味が出てくるわけです。現状の経営において余分に必要となる運転資金が上記の金額になり、その金額分が利益で賄えるのか、足りないから銀行から借り入れておく必要があるのか?ということになるわけです。
また、売上債権が増加していくのが予定されている(売上増加傾向の計画)のであれば、必要となってくる運転資金も増加していくことになります。ですので、資金繰りの管理にはより慎重さが求められることになるわけですね。
中小企業や零細企業、お店の経営者でもしっかりと資金繰りの概念は理解しておきましょう
必要なときに、手元に資金が準備できず支払えなければ黒字でも倒産ということになってしまいます。儲けがあって、現金も十分にあれば意識することも少ないのですが、多くの中小企業や零細企業ではそこまでの余裕がない場合が多いですね。
ですので、資金繰りを管理するうえで、運転資金があとどのくらい必要なのかということを理解しておくことは大切です。そしてその概念についても経営の感覚として自身に染み込ませておくことが重要です。
資金繰りについて理解は深まっているでしょうか?
中小企業・零細企業において資金繰りは非常に重要です。わからないことなどは気軽に経営相談をしてください。
またこれから起業・創業をする人にとっても極めて重要な概念です。どんぶり勘定になってしまわないように、理解を深めてください。わからないままほおっておくことは経営のスタンスとして危険であります。
経営上の小さなお悩みなどもCONSUTING OFFICE 3Sへ気軽に経営相談をしてみてください。お待ちしております。