経営計画・事業計画に根拠がありますか?
起業希望者さんの資金調達のための経営計画や、中小企業経営者様の事業計画を見る際に、財務的な裏付けや根拠が薄い状態であることがたびたびあります。
これからお店を開こうとする起業希望者さんの計画を見ると、
家賃がXX円、材料費がYY円、光熱費やそのほかの費用でZZ円
このくらいの費用が掛かるので、売上はこれだけ必要だから○○円という風に、現状見えている費用から単純に売り上げを出して計画を立てている場合があります。
それが一概に悪いとは言えない場合もありますが、そもそもの費用合計から単純に逆算してしまっている場合があるのが気になったりします。
相談が来た時点では、すでに店舗なども決まっている場合がありますので、変更が効かない場合もありますが、そもそも
「売上の見込みは費用の積み上げだけで決めるものではなく、商圏や潜在顧客の見込みなども加味して概算するべき」
ということが抜け落ちてしまっている場合があります。
飲食店を開業するとして、そこで何人くらいのお客様が来てくれそうか見込みが立てられているでしょうか?
「席数が20あるので、平常日はその6割くらい席が埋まり、一日の回転率は5回転を見込む」
というような計算をしていないでしょうか?
それは、その店舗立地の特性や潜在顧客などを加味していないまさに机上の理論だけの数字です。
しっかりした見込みを立てたうえで、
「この費用を賄えるくらい売り上げが上がるだろうか?」
ということを何度も見直さないといけません。
この考え方は開業時の計画だけでなく、既存企業の経営計画を立てる場合も非常に重要です。
例えば、単純に「前年の10%増し」の計画を立てていないでしょうか?
それは戦略立案と整合性が取れ、戦術レベル、行動レベルまでの落とし込みや見直しができたうえでの数字でしょうか?
売上・利益に根拠を持たせるための戦略への落とし込み
計画は単に費用や商品・サービスの価格からの積み上げだけで作っても使える計画にはなりません。
売上見込みの設定や、さらなる飛躍のための戦略との整合性の中で作りこんでいくことで説得力が増していくものです。
売上高+100万円を目指す場合、
単純に席数 × 回転数 × 客単価
客数 × 単価
だけの目標になったり、していないでしょうか?
客数を増やすためにどのようなターゲットにどのようなアクションを起こすのか?
そのための費用や時間が現実的なものかどうか?
それは誰がいつまでに行うのか?
行ううえでの阻害要因はないか?
コストはもっと下げられないのか?
実際に見込み客はどれくらいいるのか?既存客に貢献できるのか?
商圏に競合はどのくらいいるか?どのくらい売れているか?
そのような落とし込みや調査・分析ができているでしょうか?
そのうえで、採算性がある計画になっているでしょうか?
財務的な計画はその結果として出来上がってくるものであり、単純に「これだけ数字を上げれば利益が上がるので、これを目標とする」というようなものではいけないのです。それでは「使えない計画」になってしまいかねません。
計画策定も気軽にご相談を
資金調達のための相談や、経営相談を受ける際に「もう少し早く相談に来ていただければ。。。」と思うことがあるものですが、計画段階で深く突っ込んでいくと改善できることも多くあります。
計画実現のためのコスト削減や戦略・行動計画の策定、経営の「見える化」など経営力向上を考える際にも計画段階を深く掘り下げるというのは非常に重要です。
「走り出してうまくいかないので相談」というパターンが多いのですが、「走り出す前の事前準備としての相談」というのもありだと考えております。
中小企業や小さなお店を取り巻く経営環境は依然厳しい状態が続いています。
その中で経営者自らが将来ビジョンと計画を策定し行動するということが非常に重要になってきており、それができるかできないかということが他社との差別化のためにも必要になってくるものです。
走りながら改善するということももちろん大切です。
しかしながら、走る前に少し相談してみる、というバランス感覚も持っていただけると幸いです。
中小企業や小さなお店の経営はもっとよくなります。