なぜ意思決定が遅くなるか?その原因と対策
日本が世界の市場で苦戦している理由の一つに「意思決定の遅さ」といったことが指摘される場合があります。
中小企業の経営では、小ささゆえの小回りの良さや柔軟性が極めて重要であり、意思決定の遅さはマイナスになる場合が多そうです。
- なぜ意思決定が遅くなるのか?
- 意思決定の遅さを克服するには?
といったことを考え、経営改善をしていくことも小さな会社の経営者の務めです。
意思決定が遅くなる原因
意思決定が遅くなる原因はなんでしょう?そこには2つの大きな原因があります。
まず第一の原因は、「リスクがあることに対してきわめて慎重にふるまってしまうこと。」
ということがあると考えられます。
多くの人が失敗を恐れます。それ故に慎重になるわけですが、その慎重さが「過ぎる」と意思決定が遅くなるわけです。
例えば、稟議に時間がやたらとかかったり、多くの人の承認が必要であったりといったことがないでしょうか?このようなことでは意思決定にどうしても時間がかかってしまいますね。
現場からすれば、自分たちでやって失敗すれば責められる。
管理者からすれば、自分がチェックしていない部分で問題が起きたら大ごとだ。
中間管理職は、自分の承認だけでなく、上層部の確認もないと怖くて決定できない。
といったそれぞれの階層で、「恐れる理由」があるわけです。それがひどくなってくると、「責任の所在があいまい」といった状況が出てきてしまうのです。よく官僚主義の弊害として指摘されたりニュースに流れたりしますよね?
意思決定が遅くなるもう一つの原因は、「そもそも意思決定の必要性を認識できていない」ということがあげられます。これはある意味前者よりも深刻な内容です。
経営者の重要な仕事は、「ビジョンを実現するための問題を特定し解決をすること」があげられます。しかし、そもそも問題の存在を認識できていなければ、意思決定の必要性も認識できません。
例えば、
労働法などの内容をと自社の現状の遊離を認識できなければ、労務リスクの回避や改善といったことに目が向きません。
あるいは、
売上の減少を景気の悪化といった外部の原因のせいにばかりしていれば、自社の変化についての意思決定ができなくなる可能性が出てきます。
問題の存在を「否認」せず「認識」できるかどうかは重要なポイントです。
意思決定の遅さ・遅れを克服する
意思決定を迅速にするには、前述した意思決定ん遅さの原因に目を向けて改善することが第一歩です。
問題は2つでしたね。
1.「リスクに対して慎重になりすぎる」
2.「意思決定の必要性を認識できない」
前者にたいしては、「失敗の許容」が重要です。失敗することが自身のキャリアに取ったあまりに大きなマイナスになるのであれば、だれも意思決定などしようとしません。従業員に対しては、失敗の許容できる範囲を広げ、経営者に対しては、重すぎる意思決定を許容可能な小さな意思決定に細分化するなどの対策が重要です。
例えば、大きな意思決定の場合に、小さなステップ(たとえば、試験的導入や特定部門のみでの採用といった小規模な取り組み)を挟んで、問題が発生すれば、リスクが小さい段階で対応できるようにするといったことです。
起こりうるリスクの規模が小さければ、関係者にとっても意思決定の重みが軽くなります。これは以前のコラムでも指摘していたことですが、小さな一歩を踏み出すことがとても有効なのです。
後者については、何よりも「経営の見える化」「問題の見える化」といった表現で言いますが、現状や問題を「見える」ようにすることが重要です。
多くの中小企業の支援をしている中で、この「見える」ということや「問題を認識できる」というのは経営力を向上させるためにも極めて重要です。
そして何より、これらの対策は大きな投資や手間がかかるというものでもなく、小さな改善の積み重ねの中で実現可能なことでもあります。
「石橋をたたきすぎて渡れない」組織になる前に「石橋を叩きながら少しずつ渡ってみる」ということができるようになりましょう。
そのための経営の見える化のご支援もいたしますので、いつでもご相談くださいね。