売上増加で利益が犠牲になっていませんか?
中小企業の経営を安定的に継続させるにはなにより売り上げが必要なことは理解できます。しかしながら世の中には売上を上げることで利益率が下がり、資金繰りにも行き詰るケースが散見されます。売上の増加による成長時には経営上意識しないといけないことが多くなりますし、経営計画や戦略策定の際には自社の収益構造に注意を向けないといけません。
では、どのような部分が注意のポイントになるかというと、多くの経営者様が感覚的には理解されている通り、「資金繰り面」と「効率面」に注意する必要があります。
- 売上目標達成のために無理な営業がされていないか【営業効率】
- 売上目標達成のためにやみくもに人員追加や資源投入をしていないか【経営効率】
- 在庫や売掛金が急増していないか【経営効率、資金繰り】
- 借入金増加のために金利負担が重くなっていないか【資金繰り】
上記のような資金繰りや効率面でマイナスの影響が大きくなりすぎないように事前に計画を立てコントロールしていく必要があります。
効率面では、業務フローの改善やコスト削減の取り組みが当然なされる必要がありますし、そのうえで、適正な資金繰り対策を進めないと、無駄な資産が積みあがって非常に非効率で低収益な事業になってしまいます。
また、目先の売上ばかりに目がいき、無理な値下げによる収益力の悪化などもありうる事態です。本来売り上げは顧客貢献や自社の強みをベースとして積み重ねられるべきであり、売上計上のための値下げになっているのであれば、本末転倒になってしまう場合があります。
これらのことは全体として構造を理解して対応を進める必要があります。
損益計算書や貸借対照表の動きの理解が深まるとこれらのことがよりわかりやすくなります。
財務諸表の構造と動きを最適化するための経営改善を検討しよう
収益の変化は、財務諸表の構造に影響を与えます。売上や費用の増減で財務諸表の形が変わるということです。当たり前のことですが、これらを事前に検討し財務諸表の悪い動きを抑える対策を取ることが経営改善につながります。
上記は非常に簡単な損益計算書と貸借対照表の例です。売上が2割上がっていますが、単純にそれで利益が増えているかというとそうではない例です。また売掛金や在庫が増加しているために手元の現預金も減少しています。
あくまで例ですので、金額の詳細な説明は割愛しますが、慣れてくれば売上上昇の際の留意点を意識できるようになります。
売上の上昇を値引きに頼っていないか。値引きする場合もコスト削減の裏付けがあり許容できる範囲か?。需要予測に基づいて在庫を適正な量に維持できるか、売上後の回収まで管理しているか。販間費の無駄はないか、過剰な人員投入をしていないか?
などなど、これだけの情報から様々なチェックポイントが見えてきます。
戦略構築の際にこのような視点を持てば、経営改善も近くなりますね。
中小零細企業の経営者様で、自社の現状分析や戦略構築・管理に課題がありましたら、ご相談ください。